読書

幸村誠「プラネテス」4巻

第一部完結かー。SFヲタの端くれとしては考証や設定についてついつい突っ込む視点で読んでしまうのですが、そういう点での違和感は感じませんでした。世界をきっちり考えて作った上で、宇宙少年(現役かOBかは問いません(笑))やSFヲタ以外の人たちにも楽しめ…

小川一水「導きの星」(1〜4)

うそ師が「SF好き、歴史好きなら読め!」と大絶賛していたので買ってみました。結論から言うと、私もうそ師に同感です。「マルドゥック・スクランブル」も非常に良かったけど、これもかなり良い。湘南急行の車内で読みふけっているといつのまにか藤沢に着い…

アン・ライス「肉体泥棒の罠」(上・下)

ヴァンパイア・クロニクルズ第四作。前作とはうって変わって舞台は現代(90年-91年)に限定され、最初から最後までレスタトの一人称で進行します。人間としての身体と感覚に対する執着を捨てられないレスタトが「肉体と魂を切り離し、交換できる」という詐欺師…

アン・ライス「呪われし者の女王」(上・下)

ヴァンパイア・クロニクルズ第三作。前二作で話の基礎になる世界観とキャラクターの方向性がかっちり固まってきている上で、太古から生き続けている双子の魔女や、この世に生まれた最初の世代のヴァンパイアたちなど新しいキャラクターが登場し、古代のヴァ…

ジョルジュ・ジャン「文字の歴史」(『知の再発見』双書)

こちらも創元社の本ですが、SF/ミステリーの東京創元社とは別の出版社です。ややこしいので念のため。ここの「知の再発見」双書というシリーズに年末から新年にかけて出版社がテコ入れしていたらしく、町田や新宿の書店で平積みコーナーができていました。新…

冲方丁「マルドゥック・スクランブル」(1)〜(3)

えー。読了しましたが、すごい本です。SF読みを自認するこのへんの人はみんなぞねででもbk1ででもReal書店ででもいいから、可及的速やかに三冊まとめ買いしてください。 年末、某所にて: う:「『マルドゥック・スクランブル』というのが日本SF大賞らしいが…

谷甲州「覇者の戦塵1944 インド洋航空戦」

「覇者の戦塵」シリーズ最新刊。話のあらすじとかはネタバレにつき伏せます。 「覇者の戦塵」シリーズが素晴らしいのは、軍隊という組織(ここでは1930年代-1940年代の日本軍)における技術の変化とその受容のプロセスをきっちりと描き出しているところだと思…

三浦建太郎「ベルセルク」26巻

相変わらず読ませるなー。 この物語、始まってからずっと「剣と魔法」ならぬ「剣と怪物」の世界だったわけですが、シールケが出てきたあたりで「剣と魔法と怪物」ものという感じになってきてます。まぁ、これまでも伏線としてこの世界の構造への言及がたびた…

西川魯介「なつめヴルダラーク!」

待ちに待った西川魯介の新作。いやー、イイ(・∀・)! いつもの一見するとお馬鹿で脳天気なお話に、無駄にペダンティックな小ネタをてんこ盛り、という西川テイストは健在です。特に今回は手塚治虫や梅津かずおの画風を模写したコマがあったりして笑えました(…

清原なつの「アレックス・タイムトラベル」

いつもの清原テイスト。淡々とした語り口、随所に込められたユーモア、声高に煽り立てたり悲憤慷慨するのではなく自然ににじみ出てくるおかしさと哀切さ。良作です。

清原なつの「千の王国 百の城」

SF好き、歴史好きにはたまらない短編集。アレクサンダー大王没後すぐの時代のアレクサンドリアの大図書館とか、火星のテラフォーミングと独立運動、とかいうキーワードにビビっとくる人は読むべきです。 作者は生物学関連(類人猿?)の研究者だそうで、そちら…

アン・ライス「ヴァンパイア・レスタト」

いまいちしっくりこなかった前作とは違い、登場人物が理解可能だったので非常に楽しめました。こっちで主役を張っているのは「狼殺し」レスタト、レスタトの母ガブリエル、そしてヴェネツィアの画家マリウスと、「神」や「悪魔」の存在を信じない人間中心的…

アン・ライス「夜明けのヴァンパイア」

らみゃ師匠お薦めの「ヴァンパイア・クロニクルズ」の第一作。18世紀のニューオーリンズやパリをはじめとした舞台や情景の描写は素晴らしいし、人物造形にもストーリーにも水準以上のものがあるのだけれど、あまり主人公のルイに感情移入できない。ルイの世…

フォーサイト2003年12月号

Webで申し込んだものの、先方の不手際のために二週間も待つ羽目になってしまったフォーサイト(http://www.shinchosha.co.jp/foresight/)が先日届く*1。 全体的なボリュームは他の月刊誌に比べるとあまりないし、個々の記事も2ページ程度の短いものが中心。ど…

吉田基己「恋風」1巻

うそ師がらみゃ師匠に推薦し、らみゃ師匠がツボったので漏れも……となって手を出してみた一冊。 妹ものなんですが、不自然なあざとい演出はないし、心理描写がこまやかで丁寧。妹さんにハァハァするつもりが、むしろおにーさんの肩口と背中から滲み出てくる男…

大石まさる「泥棒猫」3巻

相変わらずの大石まさるノリ。この人のマターリ具合って、おちよしひこに通じるものがあるんじゃないんでしょうか。視線が優しいんだけど、読んでいてお尻の穴がもにょもにょするようなわざとらしさとかあざとさが感じられない点がいいです。好きだからそう…