冲方丁 「微睡みのセフィロト」

 冲方節が炸裂している割に内容はコンパクトに収まっているという、ある意味すごいのか勿体ないのか判断に困る本です。いろいろと膨らませれば、この3〜4倍の分量を持つ本は楽に書けると思うのですが、こういうサイズに収めるのも悪くはない気がするし。

 とはいえ、読みやすい分量でなおかつしっかりと冲方テイストが出ているので、冲方さんの本をちょっと読んでみたいがどれにしようか迷う、という人に勧めてみるにはいいかも。

 ちなみに、これを読んで連想したのがブルース・スターリングの短編「ディープ・エディ」(短編集『タクラマカン』所収)というのは内緒です。きちんと説明汁とか言われたらちょっと困りますが、なんとなく雰囲気的に似ている気がするんだよなぁ。