佐藤大輔 「皇国の守護者」(1〜8)

 微妙に再読フェイズに入ってしまったので、続けて「皇国の守護者」シリーズを読み直し。ある意味新刊欠乏症を加速させるような愚挙ともとれますが、その気になれば世の中には面白い本は沢山あると思っているので、御大信者ではありますが新刊を求めるあまり人生や世をはかなむような心境には至っておりません:) とはいえ、戦場を舞台に展開される男どもの屈折した人生模様や心理描写を書かせるとこの人の右に出る人はなかなかいないのではないでしょうか。よくいえば個性豊か、悪く言えばケレン味たっぷりなキャラクター群を独特の美学とリアリティをもって描く、というところに御大の真骨頂があるのだなぁと再認識いたしました。
 ちなみに、作中の描写からすると「皇国」水軍の技術水準はこの本に描かれている汽走艦黎明期(1850〜60年代?)の英国海軍のそれに近いようです。ただ、木造外輪艦は登場していますが鉄製艦はまだ登場していないし、戦力としての運用法も汽走艦単独での運用が主なようで、英国海軍のように沿岸および河川部で帆走艦の補助戦力として運用するというような局面は出てきませんが。