谷甲州 「天を越える旅人」

 チベット仏教ネタの面白い本あるよー、ということで色々な意味でツワモノな友人に貸していたのですが、戻ってきたので自分でも再読。冒頭から中盤まではチベットを舞台にした山岳小説として話が進みますが、中盤から終盤にかけては曼陀羅を媒介とし、仏教的宇宙論アインシュタイン宇宙論、そして谷さん独自の情報宇宙論を融合させた独自の世界観・宇宙観が怒濤の勢いで展開されていきます。こういうめくるめく視点の広がりを体験できるからSF者はやめられないんだよなあ。