櫻田淳 「国家の役割とは何か」

 近代国家(もう少し厳密には『近代国民国家』)とはどういう意義や役割を持ったシステムなのか、ということを、そもそも「秩序」とは何か、「政治」とはどういう営みなのか、ということから平易に説き起こしています。論点は網羅的かつ体系的だし、文章もこなれていて読みやすいので、国家論の入口としてはちょうどいい本でしょう。
 ところで本書をはじめ、気軽に読んでみるにはちょうどいいボリュームと深さの哲学・思想に関する本が数冊、最近麻布学園で開講されている「人間学アカデミー」の成果物として出版されています。この講座ってもしかして麻布の学生さんも受講しているのかなぁ……。もしそうだとしたらものを考える時間がたっぷりある時期にすごく贅沢な教育を受けているわけで、羨ましいかぎり。