かもされてきました



 ぶどう先生のお誘いにより、日本酒の会なるものに行ってみました。菊姫酒造という蔵元のお酒を複数種類飲み比べというマニアックな企画です。

 私は体質的に醸造酒に弱く、大量に飲むと悪酔いしてしまうということもあり、お酒はもっぱら蒸留酒(グラッパ・ウィスキー・焼酎・泡盛薬草系リキュール)なのですが、ぶどう先生と一緒にご飯を食べているといつも非常に美味しい日本酒を頼んでらっしゃるので、実は内心羨ましい思いをしていなかったといえば嘘になります。なのでお誘いがかかった時には日本酒の勉強のチャンスだ!と思って喜んで飛びつきました。

 当初は同一蔵元から6種類出ると聞いていたのですが、当日現地に行ってびっくり。なんと9種類ものお酒(うち4種は同じ銘柄の原酒と熟成させたものの比較)のリストが……!ちょっと待ってください先生、これ何ていうもやしもんですか(w

 並べてみると以下の通りになります。

  1. 鶴の里(限定純米酒)
  2. 山廃吟醸原酒(若い熟成させていないもの)
  3. 山廃吟醸(15度くらいの気温の貯蔵庫で2,3年ほどタンクに入れ熟成させたもの)
  4. 山廃純米(熟成)
  5. 山廃純米 飲み切り原酒
  6. 大吟醸 平成十七年
  7. 大吟醸(熟成)
  8. 金劔

 どれも水準以上に美味しいお酒だったのですが、個性豊かなお酒が揃っているため、逆にクセのないお酒はレベルが高くても印象的には埋没しがちというちょっぴりせつないイベントでもありました。

 今回出ていたお酒は、大まかに言うと三つの系統に分けられると思います(あくまでも日本酒初心者が独断と偏見で勝手に分類しているので、日本酒愛好家や詳しい方は多少おかしい点があっても大目に見てやってくださいませ)。

 まず万人受けしやすそうな、香りと味、強さのバランスがとれた完成度の高いお酒。鶴の里や山廃純米(熟成)、大吟醸(熟成)は香りがよく、弱すぎず強すぎずで飲みやすいという絶妙のバランスを達成しているのですが、突出した個性がないだけに影が薄かった気がします。

 次に吟醸酒吟醸酒は、特に熟成の進んだもの(山廃吟醸)は独特の華やかな芳香があり、口にすると強い香りが立ってくるのですが、どこかチーズのような独特な匂いも感じられます。なので人によって好き嫌いが分かれるかもしれません。好きな人は徹底してハマり、好きでない人は敬遠しがちになりそうだなと思いました。醸造酒でも蒸留酒でも、お酒は熟成によってまろやかになり香りが増しますが、熟成で出る香りの性質は醸造酒と蒸留酒では異なる、という例かもしれません(蒸留酒だと熟成中の発酵という要素はないので)。ただ、熟成の進んでいない若めの吟醸酒(大吟醸 平成十七年)の場合、しっかりと香りが立っている反面でチーズのような匂いはまったく感じられないので、吟醸酒は若めのお酒の方が芳香の「いいとこ取り」をするには向いているかもしれません。

 そして最後に原酒系。冷やして飲むと日本酒ならではの華やかな香りは抑えめになり、むしろグラッパにも通じるような力強さが感じられます。が、蒸留酒の原酒と違うのは、強さ(パンチ)がちょうどいい感じで収まっていて、適度に強いけど強すぎはしないという点でしょう。料理にも合いますし、単品でちょびちょび飲んでもよさそうな感じです。ぬるくなって室温に近くなるとむしろ香りの華やかさが前面に出てきますが、発酵による独得の匂いはしないので、これも非常に飲みやすいことに変わりはありません。蒸留酒が好きな人には、こういう原酒系は自信をもって勧められそうです。菊姫の原酒は限定品らしいので入手しにくいのが難点でしょうけれど……。ちなみに山廃純米の飲み切り原酒は結構人気があり、終盤になっておかわりする人が続出し、一升瓶が空になっていました。もしかすると今回一番人気のあった銘柄かもしれません。

 ……という感じで飲み比べてきました。和食系の料理も絶品ぞろいで、周りもお酒好きの人ばかりなので楽しくお話ができ、とても素晴らしい会でした。唯一問題があるとすれば、週末にこういうイベントをたっぷり堪能してしまうと、週明けに現実に引き戻されるのが憂鬱になることくらいでしょうか(おいおい)。

 何はともあれ主催者・参加者の皆様、お疲れさまでした。