2004-05-01から1ヶ月間の記事一覧

冲方丁・伊藤真美 「ピルグリム・イェーガー」(1〜3)

いやもう塩野七生ファンからすると「キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!!」と叫ぶしかない作品です。舞台はフィレンツェの修道士ジローラモ・サヴォナローラが火刑に処せられた後のイタリア。ルネサンス時代の世相を背景としてヴァティカンの思惑にメディチ家やエステ家、…

冲方丁 「微睡みのセフィロト」

冲方節が炸裂している割に内容はコンパクトに収まっているという、ある意味すごいのか勿体ないのか判断に困る本です。いろいろと膨らませれば、この3〜4倍の分量を持つ本は楽に書けると思うのですが、こういうサイズに収めるのも悪くはない気がするし。 とは…

安部重夫 「イラク建国 『不可能な国家』の原点」

第一次大戦後のイラク建国の青写真を描いた英国の才女、ガートルード・ベル(1868〜1926)の生きた時代を描き、メソポタミアの砂漠に安定した国家を建国することがどれほどの難事業であるかを明らかにしてくれる本です。大英帝国の植民地統治のあり方や、現今…

大澤武男 「ローマ教皇とナチス」

第二次大戦期の教皇ピウス12世(本名エウジェニオ・パチェリ)がなぜナチスのホロコーストに対し沈黙したのか、ということを教皇自身の生い立ちや当時の国際情勢、教会内事情などから探っている本です。 本書では、ヴァティカンの沈黙の要因として下記のいくつ…

先週の土曜日に断髪したら(卒論の時期からずっと長髪だったのですが*1、久々にばっさりとベリーショートにしました)某U師に「ふくだが!ふくだじゃない!」などと言われてがっくりきている今日この頃。 本のほうは最近ノンフィクション(というか歴史)の波が…

オンラインコミュニケーションを受容する文化

たこさんがちょっと書いている(ぼやいている?)ので反応してみる。 たこさんの言いたいことはよく分かります。ただ、多分この話の本当の論点は環境やインフラの有無やその水準ではなくて、「文化」ではないのかと思います(それを松村さんもたこさんも明示的…

「アニメーション製作進行くろみちゃん」 「アニメーション製作進行くろみちゃん2」

大地丙太郎監督のOVAで、字幕があるぞというので某先輩に貸してもらったもの。字幕がつくようなアニメは比較的まじめなものが多いので、こういう堂々とギャグ漫画っぽいデフォルメを多用したテンションの高い作品は初めて見たかもしれません。笑わせるところ…

大河原遁 「王様の仕立て屋」(2)

妙にすれているというか耳年増っぽい新キャラのマルコ君がいい味を出しています。しかし、彼がはまっている日本のマンガって、まさか「ピルグリム・イェーガー」のイタリア語版じゃないよなぁ……?*1 *1:以前原作者のサイトで、イタリア語版が出るという記述…

高屋奈月 「フルーツバスケット」(14)

冷静に考えるとものすごくヘビーな話なんですが、それを重い雰囲気を感じさせずに一気に読ませてしまうあたりは作者の手腕なのか人徳なのか。十二支の人々のエピソードは大体出てきたので、今後数巻くらいでクライマックスに突入するのかな。

犬上すくね 「ういういDays」(1)

犬上さんのマンガはいつもくすぐったいやら笑えるやらで、内心ではゴロゴロ転がりながら読んでいるのですが、いやー、今回もええもん見せていただきました(-人-)。今後の展開に期待。

後藤羽矢子 「どきどき姉弟ライフ」(3)(4)

いつものほんわかとした後藤節。いつのまに完結していたのか……。そして3巻で犬上さんがゲストしているのに飛び上がってびっくりしますた。ハッピーエンド完結でよかった。あと石田さん萌え(何

大井昌和 「ひまわり幼稚園物語 あいこでしょ!」(3)(4)(5)

子供の話を描くのがうまいなぁこの人は。メインキャラの二人のお話だけでなく、個々の周辺人物もキャラクターが立っているし、ちゃんと彼ら/彼女が主役を張るエピソードも出てきます。とはいえ、かつていじめられっ子だった身からすると、この子たちはある意…

中島零・むぎむぎ団 「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」

適度なお色気路線とテンション、2ちゃんねる的なノリが楽しいです。

横井勝彦 「アジアの海の大英帝国 19世紀海洋支配の構図」

大英帝国がインドから極東(具体的には中国大陸沿岸部の市場)にその勢力圏を伸ばし、造船テクノロジーにも帆走から汽走、木造艦船から鉄製艦船、さらに装甲艦の登場という変革が訪れていたのが19世紀という時代です。本書はこの時代における造船テクノロジー…

櫻田淳 「国家の役割とは何か」

近代国家(もう少し厳密には『近代国民国家』)とはどういう意義や役割を持ったシステムなのか、ということを、そもそも「秩序」とは何か、「政治」とはどういう営みなのか、ということから平易に説き起こしています。論点は網羅的かつ体系的だし、文章もこな…

松村劭 「海から見た日本の防衛」

対馬海峡の戦史から海軍戦略の基本的原則について述べるとともに、日本の海洋国家としての国防のあり方を問う本。松村さんの本はいずれも戦史という現実のケーススタディに依拠しているうえ、文章が明快で読みやすいので、戦略・戦術の入門書として最適だと…

スティーヴン・ジェイ・グールド 「フルハウス──生命の全容── 四割打者の絶滅と深化の逆説」

グールド分を補充してみますた。 統計が示すトレンドをどう読みとり、そこからどのような世界観を組み立てるのか、という観点から見てみると非常に面白い本です。データ分析や統計学をこれから勉強しますよー、という人で、なおかつ生物学や進化論にちょっと…

小川一水 「第六大陸」

小川一水の月面開発もの。バックグラウンドの政治的情勢についてはちょっと楽観的すぎるかなーという気もしなくはないですが、今日びちょっと気恥ずかしいくらいにロマンを全面に押し立てていながら、技術的な面やストーリー展開、ビジネスとしての構想など…

ちょっと放置しすぎたので最近読んだもの・観たものレビューを放流。前回書き忘れていたものも含んでいるのでけっこう多いです。